第18話
デザートを食べ終わると、知己は、アタシの手を引いて階段を下り、ホテルを出た。
「映画でも観ようか。」
「うん。」
歩き出そうとした時、後ろから誰かに抱きすくめられた。
「紗香、ソイツとどこ行くの?」
「優心。」
「ソイツとは、どういう関係?」
「先輩こそ、さっきの女性は?」
「アニキの婚約者。」
「お兄さんの婚約者と、腕なんか組むんですね。」
「あれは、アイツが躓いてこけそうになって、それで…」
「お兄さんの婚約者と、部屋を取る関係でもあるんですね。」
アタシは優心の腕をすり抜け、
「行こ、知己。」
後ろを振り返らずに歩いた。
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