第11話

放課後。


優心が、教室まで迎えに来た。





「後ろに乗って」


優心の自転車に乗り、家まで送ってもらう。


「ありがとう。」


「……」


「どうかした?」


「なんでもない。じゃ、また明日。」


優心を見送って家の中に入ろうとしたとき、


「先輩。」


知己くんがいた。


「あれ?知己くんじゃない?」


母が玄関から買い物かごを提げて出てきた。


「お母さん、知己くん知ってるの?」


「紗香、覚えてないの?小さい頃、よく、遊んだでしょ?」


「んん?」


「ほら、ここに越してくる前の家のお向かいさんの。

この家にも何度か来てくれたよ。」


前の家のお向かいさん…ちの子供は女の子じゃなかった?


確か『ともちゃん』。


「ともちゃんて、女の子なら覚えてるけど。」


「それ、俺。」

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