第167話

「その匂うじゃなくて!」


ゲラゲラ笑う葉子が、やっと落ち着き、


「家庭のある男か、二股とか、そんな気がするのよ。」


「二股…」


葉子と新見くんが篤史を見る。


「は!?俺?」


「高野くんは、ヒトのこと、責められないよね。」


「だな。」


篤史は物言いたげにしてる。


「でも。ずっと奏のことが、好きなんだよね?」


葉子が言う。


篤史と目が合う。


「ああ。ずっと好きだよ。」


私は目を逸らす。


「残念ながら、二人きりにはなれないけどね。ぶふっ。」


またゲラゲラ笑い出す葉子。


「おい、そんなんじゃ、彼氏できねーぞ!」


新見くんが葉子の頭をぺちんと叩く。


「うるさいわ!!」


葉子は新見くんの頭をバシッと叩いた。

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