第149話

「ほら、早く。」


「グラスに注ぎますね。」


「奏の口からじゃないと飲まない。」


「じゃあ、飲まなくていいです。」


ピッチャーを冷蔵庫にしまおうとするから、


「あーっ、喉渇いたなー。」


チラリと君を見ながら言う。


「だから、グラスに、」


「ん。」


君に顔を向け、目を瞑る。


薄目を開けて見てると、俯いて考え込んでる。


それから、グラスのお茶を口に含み、顔を近づけ……


口に少しずつ流し込まれる液体。


歯磨きをしたんだろう、ミントの香りがする。

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