第145話

撫でるように優しく背中を洗うから、


「もっと力入れて。」


「こう、ですか?」


「うん、そう。」


「もう、いいですか?」


「まだ前を洗ってない。洗ってくれる?」


「えっ…前だと、こっち見ちゃうじゃないですか!

ダメです!」


「じゃ、目をつぶってるから。ならいい?」


「…絶対、開けないで下さいね?」


「わかった。」


目をつぶって、君の方を向く。


「キャッ。」


「どうした?」


目を開けると


「目はつぶって!」


「なんかあったの?」


「だっ、だって、義仁さんの…」


「俺は見られても平気だから、見ていいよ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る