第135話

ほろ酔いになった葉子をタクシーに押し込み、私もタクシーを拾おうと、タクシーが通りかかるのを待っていると、


「奏?」


聞き覚えのある声に振り向く。


「篤史。」


「葉子ちゃんと飲んでたんだろ。俺も近くで飲んでたんだ。」


「そうなんだ。」


「明日も、飲みみたいだな。」


「葉子が言い出して…」


「俺は、嬉しいよ。奏に会えるから。」


私の心には、義仁さんしかいないよ。


義仁さん、会いたいよ。


「帰る?行き先一緒だから、送るよ。」


向こうからタクシーが来るのを見て、手を挙げる篤史。


「安藤さん?」


横断歩道を渡ってくる関さんに声をかけられる。


隣には義仁さん。

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