第92話

「今も、あのマンションに住んでるの?」


「うん。」


「ここから、奏の家が一番近いのか。」


「そうだね。」


「奏、俺、あの後すげー後悔した。」


「何?突然。」


「酔ってたとはいえ…」


彼女は、篤史が私と付き合ってるのを知ってて、度々篤史に言い寄ってきてた。


篤史は全然相手にしないから、私も気にしてなかったんだけど。


『アタシ、高野くんと寝たんだ。アナタと寝てもつまんないって言ってたよ。アタシたち、付き合うことにしたから。』


ある日彼女から聞かされた。


篤史に『彼女が篤史と寝たって言ってるけどホント?』って訊いたら、『ホントだよ。』って言うから、『そっか。じゃあ、私たち終わりだね。』って、言ったんだ。

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