第83話

さっきから、奏の足元がおぼつかない。


「奏、お酒飲んだ?」


「少し飲みました。」


坂本、奏に手はだしてないだろうな。


「奏は食べたの?」


「味見してたらお腹一杯になったので…今、お腹空いてるかも。」


「おいで」


小柄な君を膝に座らせる。


「あーん」


ラザニアを載せたスプーンを、君の小さな唇の前まで運ぶ。


恥ずかしそうに俺とスプーンを交互に見て、口を開ける。


唇の端にソースがついたから、舌先でペロッと舐めてやると、ますます恥ずかしそうにして。


その顔にそそられ、今度は唇を舐めて、まだラザニアの入ってる口の中に舌を入れようとすると、


「今、食べてます!」


と顔を真っ赤にして言うから、笑ってしまう。

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