第82話

こんなはずじゃなかった。


二人で楽しく誕生日を祝うはずだったのに。




「新たに作らなくていいよ。余ってるものをいただくよ。」


「余り物でいいんですか?」


「俺のために作ってくれたんだろ?」


コクンと君が頷く。


サラダとラザニアとケーキが出てきた。


教えてくれないからわからないけど、ホントはもっと、たくさん作っていたんだろう。


「いただきます。」


君は食洗機から出した食器を、戸棚にしまい始めた。


その皿の数を見て、また、心の中で、『ごめん』を繰り返す。

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