第76話

「あとね、私に家を教えてくれないの。来てほしくないってことかな?」


来られたらマズイからね。


「ご家族に会わせられないくらい、私、ダメな子なのかな?」


「家族に会わせるって、やっぱり、主任くらいの歳になると、結婚を意識させてしまうから、今はまだ、呼べないのかも。それと、安藤さんは努力家で、仕事もキチンとする、笑顔の素敵な女の子だよ。」


「ホント?ありがとう。」


と言いながら、俺の腕に手を置いてくるキミ。


頼むから、触らないで。理性が飛んじゃうから。


「トイレ借りたいんだけど。」


「玄関の近くのドアだよ。」


「ありがとう。」


トイレから出たとき、キミの携帯が鳴った。

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