第69話
「ごちそうさま。帰るよ。」
「……下まで送ります。」
「ここでいいよ。」
「外に出る用があるので。」
「じゃ、下まで。」
エレベーターの中で、義仁さんが、キスしようとした。
私は、顔を背けた。
何でもう帰っちゃうの?
言いたいけど、言えない。
そのうち、言いたいこと、なんでも言えるようになるのかな。
1階に着き、エレベーターが開く。
エントランスで私は
「おやすみなさい」
を言い、走って暇潰しに行く本屋さんにいった。
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