第49話

義仁さんに抱きつく。


アナタが好きです。


会社では余裕そうな顔して、淡々と業務をこなしてるのに、そんな無防備な顔を見せてくれるなんて。


「奏、ホントに離れて。」


「イヤです。」


「襲っちゃうよ?いいの?」


「義仁さんなら、襲われてもいいです。」


顔だけ義仁さんの身体から離し、義仁さんの顔を見上げる。


「ホントにいいの?」


「はい。」


「寝室、どこ?」


「あっち」


義仁さんの背中の後ろを指差す。


「あの、私。」


「ん?」


「いつもはこんなじゃないんです。」


義仁さんが一瞬黙って、


「じゃ、なんで今日は『こんな』なの?と訊く。」

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