第48話

「奏」


「はい。」


「離れてもらっていい?」


「…イヤです。」


「……」


返事がない。引かれた?と思い、身体を離して義仁さんの顔を見る。


いつも穏やかで余裕そうな顔が、真っ赤になってる。


「義仁さん、顔、赤い。」


と言うと、私から手を離し、自分の顔を片手で覆う。


「今の奏がかわいすぎて、ハマった。」


「今のって?」


「離れてって言ったら、イヤです。って言ったでしょ。

かわいすぎ。俺も離れたくなくなるよ。」


「じゃ、離れないでください。」


「もう、どうしてそんな、かわいいこと言うかな。」

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