第34話

間違って微糖を買ってしまい、改めてブラックを買い直していると、エントランスから、子供の泣き声が聞こえてきた。


うちのボウズくらいかな?


そこへ、さっきのマイボトルのコがやってきて、子供を抱き上げた。


さっきの素敵な笑顔を見せて。


泣いていたのが嘘のように、その笑顔を見て、子供は泣き止んだ。





この5階建てのビルは、4階まではうちの会社だが、5階は社長婦人がやっている、エステが入っている。


たまにそのお客が1階のトイレを使ったりするんだよな、と思いながらトイレの方を見ると、案の定、母親らしき女性がやってきた。


そして、マイボトルのコから子供を受けとると、何度も頭を下げ、エレベーターに乗っていった。


子どもとマイボトルのコは、手を振っていた。笑顔で。

マイボトルのコは、手をかざしながら、照り返しの強い外に出ていった。

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