去年の夏

君を見つけた日

第33話

この、2階の自販機を見るたびに思い出す。


去年の夏のことを……。






眠気覚ましにコーヒーを買おうと、自販機の方に行く。


自販機そばのベンチに、リクルートスーツに身を包んだ、かわいらしい女の子が座り、バッグからマイボトルを出し、飲んでいた。


そこへ同じくリクルートスーツを来た背の高い男の子がやってきた。


財布の中身を見て、自販機を見て、悩んでいる。


小銭がないのかな?


こんな暑い中、就活をしてるんだ。


ジュースの1本でも奢ってやろうと思い、近づくと、


マイボトルのコが立ち上がり、自販機に小銭を入れてやっていた。


話し声は聞こえないけど、その時の女の子の笑顔が印象的だった。


俺は、1階に下りて、コーヒーを買うことにした。

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