屋上から階段を下りていると、主任が階段の下にいた。

「坂本、ちょっといい？」

研修室に連れていかれる。

「もしかして、安藤さんのこと、好き？」

「好きですよ。本人に言うつもりはありませんけど。

彼女、主任が好きみたいですし。」

「俺も、安藤さんのこと、好きなんだ。

付き合ってる。」

「主任、奥さんとお子さんいるんですよね？

安藤さんのことは、遊びですか？」

カッとなるのを抑え、努めて冷静に訊く。

「知ってたんだ。俺が既婚者だってこと。安藤さんとは、遊びじゃない。

彼女を知る度に好きになっていく。」

「奥さんと、別れるんですか？」

「すぐに、とはいかないけど、いずれ、別れようと思う。もともと望まない結婚だったし。」

「安藤さんは知らないんですよね、主任が既婚者だってこと。」

「知らないよ。まだ、知られたくない。知ったら、彼女は、俺から離れると思うから。」

まあ、そうだろうな。

略奪愛とかするようには見えない。

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