第29話
数日後の朝、あの子がいつもより楽しそうな顔をして出社してきた。
主任とうまくいっんだ、と思った。
用もないのに資料室に呼び出し、再度忠告する。
でも、いくら忠告しても、恋する人間には届かない。
一度走り出した気持ちは、そうそう止まらないし、なくならないものだ。
あの夏の日から、俺が、キミにもう一度会いたくてたまらなかったように。
再会してから、どんどんキミに惹かれていくこの気持ちを止められないように。
たとえ、この想いが一方通行で、どこまでいってもキミと交わることがないとしても。
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