キミに初めて会った日

1本のペットボトル

第25話

あれは去年の夏。


就職活動で、この会社に来た日のこと。


「あっちー。喉乾いた。」


自販機の前で財布を出し、小銭を出そうとしたが、小銭がない。


財布には諭吉しかいなかった。せめて英世がいれば。


「小銭がねー!」


自販機とにらめっこしていたら、チャリンと音が。


「好きなのどうぞ。」


見ると、髪を1つにまとめた高校生くらいの女の子が、横に立ってた。


「年下に奢ってもらうわけには。」


「ムーッ。私、大学生です!アナタと一緒。就活中。」


「ごめん。」


「小銭ないんでしょ?どうぞ。」


「ありがとう。次会ったら返すから。」


「頑張ろうね。」


お釣りを取ると、名前を聞く間もなく、女の子は去っていった。

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