第22話

「ところで、このマンション、奏の給料じゃ苦しいんじゃない?」


「ここ、大学の時から住んでるんです。

親が女の子だから、しっかりしたところに住みなさいって。実は今でも家賃の半分出してもらってます。」


「大事にされてるんだね。」


「はい。まあ。そうですね。下は弟なので、娘は私一人です。」


「そうなんだ。」


「しゅ…義仁さんは?どんなところに住んでるんですか?」


「お…俺は、実家に住んでるよ。」


「じゃ、ご飯の支度、されてたんじゃないですか?」


「連絡したから大丈夫。でも、そろそろ帰らないと。」


「そうですね、明日も仕事ですし。明日は?ご飯、食べます?」


「あ、いや。たまには母の作ったもの食べてあげないといけないから。」


「親孝行ですね。」




私はエントランスまで義仁さんを見送った。

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