第6話 八王子 純太犬になる⁈
「何だよ…ズルッまた俺を馬鹿にしに来たのかよ…ズルッ」
どうせコイツの事だ、馬鹿にしに来たに決まってる、俺の心は、既にグロッキーだと言うのに、このお嬢様は…ドS過ぎやしないか。
「それも面白そうだけれど今日は、あなたに、提案を持って来たのよ」
「こんな惨め俺に何の御用でしょうか?お嬢様…」
投げやりな俺の態度を見て美月姫は、顔を顰めている。
「まぁいいわ、これを聞けば貴方の態度も変わるでしょ」
「今の俺には、立ち上がれないぐらい、心に穴が空いちまったんだ、ほっといてくれよ」
……………………………………
「貴方を舞踏王様してあげると言ったら…」
「フッ面白れぇ、入学早々、カモられた奴を舞踏王様にする方法があるんなら教えてもらいたいもんだぜ」
投げやりな俺は、冷たい床に寝返りを打ち、美月姫を煽る様に質問した。
「この話に乗るなら、教えてあげるわ、まぁこれを断ったらただの負け犬の高校生活が待っているわよ」
「それに乗ったらどうなんだよ?」
「勝ち犬になるわ!土佐犬ぐらいには、なるんじゃないかしら」
「どっちにしろ犬じゃねぇか!つうか何で俺何だよ!」
「犬にしゃぶり尽くされた骨、つまり誰も食べない残飯って事よ、誰に気付かれずに水面下で行動できる貴方にね!」
「俺は、残飯かよ!」と文句を言いつつ、少しカッコいいかもと思ってしまった。
「そうねっそれでどっちなの?時間は、有限なのだけれど」
「゛あーもう乗ってやるよ!お前の勝ち犬になってやるよ!」
「フフッ…いいわ!」
「私の犬にしてあげる…」
美月姫は、教員机に座り足を組み直す。これは、差し詰め悪魔との契約に他ならなかった、この学園には、悪魔が何人いるんだよ…はぁ…悪魔には悪魔をってか…
「私と貴方で一億を取るのよ、成功報酬は、6:4、私が六千万で貴方が四千万ね、プラス様々業界へのパイプね」
「お前の方が多く取んのかよ!」
「手を貸してあげるんだから当たり前じゃない、7:3じゃないだけ感謝しなさいよ」
「わかったよ、そんな怒んなって!お前カルシウム足りてねぇんじゃねぇか?」
「゛あ゛あん今何か言ったかしら?」
俺は、美月姫の威圧感に圧倒されてしまった、コイツの目怖いんだよな…
「あっなんでもないです!そっそれで俺は、何をすればいいんだ?」
「フンッ貴方には、これを使って私の指示を聞いてもらうわ」
そう言うと美月姫は、ラヴウォッチを二回コンコンと叩いた。
「ん?」
「呆れた…説明書を読まないタイプね」
「一々あんな長ったらしいの読まねぇだろ」
「話を遮らないでもらえるかしら」
「はいはい、どうぞ、お嬢様」
美月姫は、明らかに苛立ちを見せていたが話を続けた。
「このラヴウォッチはね、現存するスマートウォッチの機能は、もちろんの事、脳内で通話だってできるの、それを使って貴方を操りラヴポイントを集めるのよ」
「まずは、手始めにあの向日葵って子に復讐させてあげる、そうすれば貴方もやる気になるでしょ」
「お前そんな事出来んのかよ!すげーな!」
俺は、思うわず美月姫に迫っていた。
「ちょっと離れてくれるかしら…臭いわ」
「どうせ胃が腐ってますよーだ、…でもよ、ゼロポイントになった俺になんか相手にしないんじゃねぇの?」
「哀れなカモられっぷりだったものね」
「それは、もういいんだよ、心を抉るんじゃねぇ!」
「この四日間、観察させてもらっていたけれどあの子、ルダスタイプね」
「えっ全部見られてたって事かよっ恥ずっ」
「あんだけ公衆の面前でイチャついてたらね」
「もうお嫁に行けない」
「貴方がお嫁に行けないとかどうでもいいわ、人には、6っの恋愛のスタイルがあるの、ルダス、遊びの恋愛、プラグマ.実用的な恋愛、ストルゲ.友情からの恋愛、アガペー.愛他的な恋愛、エロス.情熱的な恋愛、マニア.偏執狂的な愛があるの、この学園じゃルダスがポイントを多く稼ぐでしょうね」
「じゃあ俺は、何だよ!」
「あなたは、エロスよ!」
「エロス、なんかエロそうな響きだな」
「情熱的では、あるけれど大半が一目惚れで落とされるスタイルねルダスからすれば一番ちょろかったんでしょ」
「ちょろいって…もう何も言えね」
「あの子は、恋愛をゲームとしか考えていないの、貴方から取れるポイントが無いと思ったから貴方を捨てたのよ、でもラヴポイントは、ゼロ以下から幾らでも下降するのを知らないのね」
「そんなの来るとは、限らないんじゃねぇか?」
「あの子は、来るわよ!また鴨がネギ背負ってるってね」
美月姫の話しは、小難しくてあんまり分からなかったが妙に信じられる気がした。そして、時間は、既に八時を過ぎていた。
「あの子からアクションがあったら連絡しなさい、今日は、もう遅いから帰りましょうか、夜更かしは、お肌の大敵、私の美貌が失われてしまうわ」
「おっおう」
俺達は、学園を出た。迎えに来て居た、瀬馬さんに送ってもらい、帰路に着いたのだった。
帰宅後、夕御飯は、喉を通らず、風呂では、放心状態だった、そして、枕は、涙で水没していた…がちょいちょい憎たらしい北条美月姫の顔が浮かぶ、それにほんの少し…ほんと少し感謝していた…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます