『反吸血鬼 キラ・ドゥーラ』 その11
その演奏は、主題と練習曲を5つ、それにフィナーレを取り出して弾いていたのである。
もちろん、暗譜している。
そのあたりは、当然かもしれない。
ただし、暗譜でなければならないという演奏家もあるし、わざわざ全部覚えていなくても、結果的に立派に演奏できるなら、暗譜でなくても構わないという人もある。暗譜してなきゃ立派に弾けるわけがないとも言われる。
暗譜してても譜面をおいておく人もある。
必死に練習したら、自然に覚えるさ、とも言われるし、必死にならなくても、楽譜を一目見たら全部覚えてしまう人もある。
この青年は、一目の部類だろうな、と、作者は書きながら、思ったのである。
ふみたには、それはもう、感激した。ここで天才に出会うとは思わなかった。
ただし、ふみたには、本来の目的をちょっと忘れてしまっていた。
ふみたいは、そういうことがない。
だから、この青年は、怪しいところがあると見抜いていた。
それだけに、ふみたにに、深入りさせたくなかったのだ。
そこは、オカルト専門の警察官である。抜かりはない。
しかし、まさか、店のスタッフだけではなく、作者以外の客も、みな仲間だとまでは認識できていなかった。
そこで、事件は起きたのである。
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『反吸血鬼 キラ・ドゥーラ』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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