『反吸血鬼 キラ・ドゥーラ』 その8
『あのひと、ちょっと、普通ではないようね。』
キャサリン隊員が、明舞隊長に囁いたのであった。
『ああ。あれは、マラクータだな。間違いなしだ。』
『堂々と、町中ピアノ弾いてるわね。』
『きみ、クラシック判るのか?』
『ピアノは習いました。ソナチネまで行かなかったけど。』
『それは、つまり、上手いのか?』
『もちろん。』
『ふうん? なら、さっささと、一発で仕留めよう。』
隊長は、スマホにしか見えない『きらきら砲』を、ピアニストに向けて、頭でスイッチを押した。
しゅわ!
という音さえしなかった。
しかし!
『あ、はずした!』
キャサリンが呟いた。
隊長が外すなどは、ありえない。
百発百中であるはずだからだ。
訓練でも一発も外したことがなかった。
にもかかわらず、きらきら砲のエネルギーの小さな塊である弾丸は、的に当たらず消滅した。
隊長は、2発目を発射したが、なぜだか、ピアニストの頭の脇をすんなりと通過していった。
3発目も、当たらなかった。
キャサリンは、隊長の手を押さえた。
『だめです。読まれてます。』
『あり得ないだろ。』
『どうやらあれは、並みのマラクータではないようですね。』
ピアニストは、シベリウスを弾き終えた。
ふみたには、やたら、感動したのである。
🎼✨
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