『反吸血鬼 キラ・ドゥーラ』 その5


  『ふみたに』



 クラシック音楽とオカルト専門の月刊誌『月間 オカルクラシカ』の記者、文田 フミタ 二は、警察省刑事『文田 偉』通称『ふみたい』の妹である(『ジラ!』 など参照)。こちらは、『ふみたに』と呼ばれる。まあ、どちらも本名そのものであるが、ほとんど、愛称と思われていた。


 某有名音楽大学音楽学科卒業の、エリートなのだが、いまは、オカルト部門の記者をやっている。


 クラシック音楽におけるオカルトが研究テーマだったせいだと思っていたが、じっさいにやってるのは、ひたすらオカルトである。


 音楽学科なため、楽器の演奏は、必ずしも巧くはない。


 また、見た目は、必ずしも悪くはない。


 というあたりだった。


 普段はメガネを着用して記者らしさを演出していたが、実はあまり必要ではなかった。



 ある晩のこと、最近怪しい話題が沸騰している、銅座町界隈の取材をしていた。


 怪しい話題とは、もちろん、『マラ・クータ』のことである。


 『マラ・クータ』が、吸血鬼族であることは、だいたい判ってきていたのだが、いまだ、オカルトの分野からは、あまりはみ出してはいなかったのだ。


 いままでに判っているのはこうである。



 夜中、街中でも、人通りの少ない街道でも、ちょっと怪しく魅力的な男性または、女性が、ふいに、異性に声をかけてきて、ちょっと話をしたら、そのままどこかに連れて行く。しかし、そのお相手は、そのまま行方不明となる。


 やがて、違う街に、その行方不明になった人が現れて、逆のことをするようになる。


 その首には、必ず、獣に咬まれたような跡があるのだ。


 たまたま逃れた人は、そんな証言をしている。


 さらに、行方不明になった友達が現れて、知らない場所に連れて行かれたが、そこには吸血鬼たちが沢山集まっていて、儀式のようなことをやっていた。彼らは自分達を『マラ・クータ』と、呼んでいる。運良く隙を見て逃げ出したが、場所がどこだったかは、ついぞ、わからない。


 とかいうような、かなり、危ない話が、いまや多発しているのだ!



 という、噂を元に、彼女は、取材を進めていたのである。



     👂️➰👂️アヤシイ!

      


 

 


 


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る