『反吸血鬼 キラ・ドゥーラ』 その4


 『宇宙アパート』



 隊長、明舞偶アカマイグウは、キャサリン隊員に説教していた。


 『あのなあ。きみ、もうすこし、プライドとかを持ちたまえよ。見た目なんかどうでも良いが、いくらなんでも、舞台衣裳だろ、それ。』


 『あらあ。おきらい?』


 『嫌いとか好きとかではなくて、ほら、博士が来た。叱られるぞ。』


 真っ赤な、ほとんどすけすけのドレスを翻しながら、キャサリンはそんな話しは聞く気がない。


 『やあ、よく来た。きみたち、トップふたりに話があったんだ。』


 荒川博士は、仕事以外には興味がない。


 むしろ、相手が服を着ていようが、着ていなかろうが、そこらあたりは、博士には関係がない。


 ナンバーワンと、ナンバーツーは、どちらも拍子抜けした。


 『私の、開発した、超小型偵察衛星『みえみえくん』が、ついに、連中の拠点のひとつとおぼしき人工小惑星を発見した。見た目は、普通の『アパート小惑星』と違わないが、見たまえ、中身がまるで空洞だ。』


 荒川博士は、『みえみえくん』の送ってきた映像を投影した。


 『外側のアパートは、まあ、飾りだな。ほんとうの棲みかは、ここだ。』


 『わ! まさに、古代のお城ね❤️』


 『レトロを通り越して、トロだな。』


 『なによ、それ?』


 『きみ、すし食わないのか?』


 『す、し? いやよ、なま物は。それと、レトロが、どうからむの?』


 キャサリンは、明舞にぐっと体を押し付けた。


 『あ、……トロは、マグロの脂身の部分を指す。すしの醍醐味だ。きらいなヒともいるがな。』


 『まて、すしの話ではない。すみかの話だ。ただし、これは、本部ではないだろう。もしかしたら、単なる展示場かもしれないが、しかし。』


 『しかし?』


 『展示場には、意外な真実が隠されていたりもするからな。調べる価値は十分ある。そこで、なにせ、はじめて見つけた連中のアジトである。君たちふたりで出掛けて、潰してきてほしい。ただし、ほかの、アジトの場所を掴むことが第一である。それが見つからなければ、暫く泳がせよう。』


 『はあ、連中、頭いいわよ。見つかったらすぐに自分で潰すわ。』


 『それはそれで良い。もし、マラ・クータがいたら、君たちの場合は、判ってるだろうが、できるだけ咬まれるな。『きらきら銃』で、キラ・ドゥーラ細胞を注射せよ。』


 『あい。』


 『よし、座標は、入力済みだ。行きたまえ。勇者よ✨』



      🦸‍♀️












 


 

 

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