『反吸血鬼 キラ・ドゥーラ』 その2


 『吸血鬼ハンター、ミスター・シポック』



 ミスター・シポックは、火星人である。


 もちろん、地球人類の子孫であるが、火星移住三世にあたる。


 荒川博士の『地球大学第一講師時代』の教え子であるが、いまは、吸血鬼ハンターとして活動している。しかも、とびきりの腕っこきであった。


 自身が開発した、『吸血鬼魂瞬間吸入光線銃キュウケツキコンシュンカンキュウニュウコウセンジュウ、略称『キュウコン銃』により、多数の吸血鬼を、穏やかに退治してきたのである。


 この光線銃は、独自の理論により、吸血鬼の魂を肉体から分離するエネルギーを発射し、同時に飛び出したそれを吸入して、光線銃のエネルギーに変換する仕組みを備えていた。吸血鬼の肉体は、静かに亡くなるのである。


 その肉体に向かい、ミスター・シポックは、古い地球の呪文を唱えて弔うことを常としていた。


 『なまごみだ、うんじゃーまいやら、安からに眠れ!』と。



 そうしたミスター・シポックにとって、恩師荒川博士の『キラ・ドゥーラ』は、あきらかな、商売敵であった。



      😤










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