第7話 素直に前進
ミツルは「カナデ、話があるから屋上に行かないか?」と夕方の放課後、カナデを呼び出した。
そこの屋上の扉で、顔をのぞかせているのはツグミだった。
ミツルが「カナデ、俺やっぱり・・・」と言葉にしようとして居た時、カナデが「わかったよ。ミツルは、ツグミの事を好きだよね」とさりげなく苦笑いをしてミツルの気持ちに薄々勘づいていた。
ミツルが「何で、その事を知っているの?」と驚きを隠せないで居た。
カナデが「やっぱり?あの時、ツグミに渡したいものがあと一つあったよね?」と首を傾げていた。
ミツルが「それは、今は言わないでくれ」とカナデに口止めをした。
カナデが「あぁ、何時の間に私が居ない間にこんなに話が進んでいたのかと驚いたね」とミツルを見ながら涙を少し流していた。
ミツルが「ごめん。俺やっぱり、カナデじゃなくてツグミの事が好きで目で追っているだけでよかった。なのに、色んな男子がツグミを異性として意識し始めてからは、目で追っているだけじゃ足りないって想えた」とカナデに真剣な顔をして話していた。
カナデが「それは、ツグミに言ってあげてよ。私は、ツグミじゃ無いから」と屋上を出て行った。
カナデが屋上の扉から涙を流し、階段を下りて行った。
ツグミが屋上の扉を開けると「ミツル君。さっきの話ほんと?」と冗談交じりに声を掛けた。
ミツルが「本当だよ。渡したかったのは、少し小さな箱でこれ」とツグミに渡した。
ツグミが箱を恐る恐る開けると、小さなダイアモンドの指輪が、ツグミの前でキラキラと光っていた。
ミツルが「俺が今までバイトしてきたお金で買ったから、安物かも知れないけど、大切に付けて欲しい」とミツルは、ツグミの左薬指に指輪をはめてあげた。
ツグミが「ありがとう。私、この時をずっと夢に見ていた。ミツル君と結ばれることを」と涙を流して嬉しそうにして居た。
夕日の中、キランと光るダイアモンドの指輪は、いつまでも、その左手の薬指に光を放って居た。
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