第6話   2人はこのまま

ミツルはリョウタから「カナデが呼んで居るぞ」とカナデが教室のドアから顔を出していた。

ミツルが「お待たせ。此処じゃ話せない事?」とカナデに質問をした。

カナデは「うん、ちょっとね。今日晴れて居るから木漏れ日が溢れている木の木陰で、校庭の隅で話さない?」とミツルを呼び出した。

ツグミは、窓から校庭を見て居るとミツルとカナデが2人で何やら話をして居るのが見えた。

ツグミは急いで校庭に行くと、木の陰から様子を覗いていた。

カナデが「ね?ミツルは、ツグミの事を好きなの?」と急な質問をされて、ミツルが「え?俺が?まさか・・・、でも、何でそんな事を訊くの?」と慌てている様子で聞いた。

カナデが「ツグミは可愛いし、特に異性から人気あるし、でも、あの子と付き合ったら後々ライバル多すぎて大変な事にならないか心配で」と言葉を詰まらせていた。

ミツルは「そんな事か。俺は大丈夫。ツグミの事を一番に信頼して居るから、カナデが心配する事じゃないよ」と何気なく言葉を返した。

カナデは暗い顔をして「そう・・・。あんな子の何処が良いのか良く分からない」とブツブツ言いながら校庭を後にした。

ツグミは「あ、やばい所に出くわしちゃったな。こんな所に居たら、カナデに殺されそう」と周りを見渡して、その後、後ずさりをして教室に帰ろうとした。

ミツルが帰ろうと校庭に背を向けると、そこにはツグミが居て、ミツルが「さっきの話、聞いていたのか?」とツグミに問いかけた。

ツグミは「え?さっきの話って?まさか・・・、聞いたって言うかつい、カナデとミツルが2人で校庭を出て行ったのが見えて気になって来てみたら、カナデが「ミツルは、ツグミの事を好きなの?」と聞いて来た場面を見て、やばい所に来ちゃったなって思っただけだよ」と話をしてふざけて笑いながら教室へと帰って行った。

ツグミは「何だ。カナデもミツル君の事を好きだったのか」と暫くして我に返った。

リョウタが「どうした?ツグミ。さっきからボーっとして」と声を掛けられて、ツグミは「へ?そうだっけ?私、最近疲れているのかな?」と苦笑いをして居た。

リョウタが「あ、わかった。カナデがミツルの事を好きなのかもしれないって事だろう?」と大きな声でわざと話すと、ツグミが「シッ!さっきから大きな声で喋ったら、カナデに聞こえちゃうでしょう?」とリョウタの口に手を置いて、きつく注意をした。

カナデが「聞こえているよ。さっきから何コソコソ喋っているのかと思ったら、その事か」と話の内容に気付かれて、ツグミは心の中で内心何を言われるのかドキドキしていた。

カナデは「ミツルの事を好きかどうかはわからないけど、気にはなって居るよ」と返事を返されて、ツグミは「そうなの。カナデの気持ちは分かったよ。正直に言ってくれてありがとう」とお礼を言った。

ツグミは「ミツルの事を忘れよう」と心の中で思って居たのだが、中々その夜はすんなり眠ることが出来なかった。

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