第91話
『……大丈夫かしら、彼。やっぱり一緒に行ってあげてた方が』
『大丈夫だよ。新人とはいえ、ちゃんとした大人なんだから。それより、さっきの話の続きだけど』
『話の続き?』
『嫌だな、プロポーズの話だよ。返事、まだもらってない』
『あ……』
『もしかして、まだ元旦那さんに未練があるとか? 噂で聞いたけど、最近よく会ってるって』
『あ、あれは! 息子の事でいろいろ確認したい事があったから……! それにあの人、いまだに勤め先の会社とか、具体的にどんな仕事を任されてるとか、そういった話を教えてくれないの。だから、そんな人に息子を預けておくのは本当に不安っていうか……』
『僕じゃ、ダメなのか……?』
『え?』
『僕なら、息子さんに絶対苦労はかけさせない。誰よりもいい父親になってみせるっていう自信があるよ』
『……』
『何より、今の環境は果たして息子さんに必ずしも最良とは言えないだろ? 何の仕事をしているか分からない父親より、将来有望である母親の君が育てる方がずっといいに決まっている。もちろん、僕もサポートする』
『田沢さん……』
『どうか真剣に考えて、答えを聞かせてほしい。僕達三人の将来の事を……』
『……』
『返事、いつでも待ってるから』
『はい……』
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