第117話
「……まず、心霊検事について話してやる。仕事内容は俺とは真逆。幽霊達に求刑できて、それが通ればそのまま罰する事ができる奴らの総称ってところだ」
「じゃあ、その人達って場合によっては」
「ああ。幽霊を死刑にする事だってできる」
俊介はデスクの椅子から立ち上がり、麻衣からそっと視線を外した。
どこか辛そうな表情を浮かばせる俊介だったが、麻衣は彼の答えに気をとられて、その事にまるで気が付かない。
デスクの上に身を乗り出さんばかりの格好で、麻衣は言葉を発した。
「そんな、そんなの横暴です! 幽霊ったって、元は人間……いや、たまに動物もいますけど、とにかく! 何かしらの強い思いがあるから、この世に留まってるんですよね!? それを、ろくに話を聞かずに罰するなんて……!」
麻衣は一時間半前の事を思い出していた。
ヒロミを幽霊だとぴしゃりと言い放った神崎京也の自信に満ちた笑みが、最初に浮かんでくる。
『ぐうの音も出ないのかい? 西条ヒロミの幽霊』
何も言い返せないでいるヒロミに、京也は勝ち気な視線を向けてきた。
いつも自分を励まし、力付けてくれていたヒロミが幽霊だという事実。それを差し引いたとしても、こんなにあっさりと言い負かされるなんて……と、麻衣も何も言えないでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます