第116話
†
「……鳴海先生って、昔は心霊検事だったんですよね!?」
一時間半後。
出勤予定時刻を大幅にオーバーしたくせに、何の気後れも感じさせないずかずかとした歩調で書斎に入ってきたかと思えば、そのままの勢いでぐいぐい詰め寄ってきた麻衣。
一人でそこにいた俊介は、思わず口から出かかっていた超絶至極な嫌味の言葉を喉の奥に流し込み、代わりに「は……?」と少々すっとんきょうな声をあげる。それがさらに火をつけたのか、麻衣の声はますます勢いが増した。
「だ~か~ら!」
俊介のデスクに向かって、麻衣は両手を乱暴に叩き付けた。
「マッキーの件の時に言ってたじゃないですか、心霊検事をやっていたって! 今とは真逆の事をしてたって!」
「あ、ああ……」
「それってつまり……、幽霊を殺しちゃうって事なんですか!?」
麻衣のその言葉に、俊介の体がわずかだがぴくんと揺れた。
まさかこいつ、思い出したのか⁉ 十年前の、あの時の事……。
だったら、慎重に話を進めなくては。悪いのは俺一人だけなんだから、他にとばっちりがいくような事だけは、絶対に避けないと……。
そう考えながら、俊介はできるだけゆっくりとした口調で答え始めた。
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