第104話
「……マッキー。何事にもな、必ず限界ってもんはあるんだよ」
俊介の言葉はどこか悲しげだったが、それでもはっきりとした口調だった。
「たまに……ごくたまにな、限界を越えてやりとげちまう奴はいる。でも、それは奇跡なんだよ。そして、お前はもうとっくに奇跡を起こしてた。よく頑張ったな」
「グゥ~……。グルルゥ~……」
「その様子じゃ、寿命を迎えてだいぶ経ってんだろ? それなのに、本当によく頑張って生きたな。そいつの為に……」
「ウゥ~……。ガウガウ!」
「でも、もう限界だ。これ以上現世にいたら、お前は悪質な動物霊になる。そしたら、有無を言わさず心霊検事に求刑されて消されちまうんだ。分かるだろ?」
「グゥ~……」
「まだこいつとの思い出があるうちに、天に昇れ。それさえあれば、来世でいずれまた巡り会える」
「キュ……、グゥ~……」
「こいつを信じろ。今はこんなんだが、いつかきっと立ち直る。もしも立ち直らずにショボい地縛霊にでもなったら、俺が責任を持って弁護して、お前のいる場所に送ってやる。だから、な?」
俊介の『心霊六法全書』が再び青白い光を放ち始める。
それをおとなしく受け入れようとしているかに見えるマッキーの姿を、麻衣はたまらない思いで見守っていた。
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