第61話

しかも、麻衣がその事に不平不満を言った時など。


「お前、まさか心霊弁護士がヒョイヒョイ裁判所に足繁く通って、毎日毎日『異議あり!』とか叫んでると思ってたのか? 二時間ドラマの見すぎだ、バ~カ!」


 幽霊の人権を守るのが仕事なんだから、罪に問われるより先に注意勧告して回るのが主な業務だと聞かされた。


 それはそれでいい事だと思うし、確かに被告になろうとする者を守る事にも繋がる。例え、相手が幽霊であろうとも。


 だが、と麻衣は思う。


「何で、私が愚痴専用スタッフみたいな扱いされなきゃいけないんですか!? 私は早く一人前の弁護士になりたいのにぃ~!」

「あはは。ナルちゃんの事だから、きっとあんたの中にある何かを買ってんだよ。あんたなら、幽霊の愚痴を受け止めて、一緒に考えてくれるだろうとかなんとか、さ」

「基本的に、超自己中な言い分しかしませんよ幽霊ってのは! 自分は悪くないだの、生きてる人間や現世の方が汚くて厄介だの!」

「あはは、言い得て妙だねぇ。違いないよ」

「もう、ヒロミさんまで!」

「ごめんごめん。でも、しょうがないじゃん。ナルちゃんのやり方知ってるからさ。否定する気になれなくて」


 ああ、そういえばと麻衣は思い出した。確かヒロミさんも、鳴海先生に昔お世話になった事あったんだったと……。

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