第58話
「何よ、童顔で悪かったわね! でもね、あんた達みたいに死んでも人様から嫌われて成仏できないような、ダメダメな幽霊なんかよりは、百万倍マシよ!!」
「……んだと、コラァ! もっぺん言ってみろ、このガキ!」
「何回でも言うわよ! 生きてても死んでても、ダメダメなくせに!」
俊介は、小さく「あのバカ……!」と呟く。
この手合いの幽霊に対して、なじるという行為がどれだけ危険な事か、麻衣は少しも知らない。加えて、自分が結界陣の外に出た事で、その危険がさらに大きくなっていた事にも、すぐには気付けなかった。
麻衣がその事にやっと気付いたのは、リーダーが鉄パイプを二回ほど振り回し、再び乗っていた改造バイクのエンジンを噴かせた時だった。
「このガキ、なめた口ききやがって! ちったぁ、痛い目見ないと分かんねえみたいだな!!」
そう怒鳴るや否や、リーダーのバイクは麻衣に向かって急発進していた。
十メートルも離れていない距離を、バイクが猛スピードで突っ込んでくる。
相手は幽霊だ。きっと物理的な怪我はないだろう。でも、もし何か呪いのようなものをぶつけられたら……!
そう思ったら、白無垢の重さもさる事ながら、麻衣は両足がすくんで動けなくなった。
あと、五メートル……。
あと、三メートル……。
もう目の前だ。助けて、お父さん……!
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