第56話

「さっきも言いかけたけど、俺は心霊弁護士の鳴海ってもんだ。お前らに話があって来た」

「ああ!? 話? こっちにはねえよ! 俺らは今、死ぬほど忙しいんだから、さっさとどけよ!!」

「死ぬほど忙しいって……毎日ここをグルグル往復してるだけだろ。あと、面倒くせえからぶっちゃけるが、お前らはもう死んでんだよ」

「それがどうした、オッサン! 生きてようが死んでようが、暴れられりゃ関係ねえだろ!」

「死んでまで、現世に迷惑かけんなって言ってんだ! 凶器準備集合罪と道交法違反に問われて裁かれっぞ! あと、俺はまだ28だ!」


 心外な事を言われて腹が立ったのか、俊介は子供のように『心霊六法全書』を振り回してわめく。それを見て、麻衣は思わず呟いた。


「28なんだ、鳴海先生。もうちょっと若いかと思ってた……」

「何か言ったか、そこのチンクシャ童顔小娘」

「……っ! いいえ、何にも!!」


 何よ、そっちは地獄耳の偏屈オカルト弁護士のくせにっ! という麻衣の恨みがましい視線を背中に浴びながら、俊介はさらにリーダーの若者に言った。

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