第53話
「おい、もうすぐ来るぞ」
立体交差線道路をさらに進みながら、俊介は奥にいる者に声をかけた。
「その結界陣は透明式だけど、この前より頑丈な奴だ。例え十トントラックがぶつかってきても、お前は吹っ飛ばずに済む」
「……」
「あいつらが来たら、お前はただとびきりの笑顔で手招きしてりゃいい。間違っても結界陣の外には出るなよ、轢かれちまうぞ」
「……」
「おい、聞いてんのか。このムクレ不細工小娘っ!」
「まさか……」
「あん? 何だよ?」
「まさか白無垢着たまま連れ出された挙げ句、囮にされるだなんて思いもしませんでした!」
と、白無垢姿の麻衣は結界陣の中で正座しながら怒鳴った。
先日の女子高生達の事件のものより、確かに結界陣は一回りも二回りも大きい。
だが、それも白無垢の裾ギリギリの大きさなので、ちょっと身じろぎしたら簡単に結界陣の輪より外に体が出てしまいそうだ。
「せめて、もうちょっと大きく造って下さいよ、結界陣! それに、別に私を囮にしなくても霊をやっつける道具とかあるんじゃないんですか!?」
「簡単に言うな、バカ! 結界陣一つ造るのに、どんだけ集中力いると思ってやがる。それに前にも言っただろ。俺は、あいつらの人権を守る心霊弁護士なんだよ」
と、俊介は麻衣に背中を向けて、『心霊六法全書』を前方に向けるようにして構えた。
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