第49話
「……お、おばあちゃん!?」
「“タキばあ”で構わんよ。この辺の霊達からはそう呼ばれとるわい、ほほほ」
「ほほほって……じゃあ、タキばあちゃん。何でここに」
「何でって、ここはあたしゃの家。いつでもおるわい。ナルちゃんに閉め出されん限りはの」
そう言って、また「ほほほ」と陽気に笑うタキばあ。
そんな様子を見てるだけでは、とてもタキばあがこの洋館に留まり続けている地縛霊だとは思えない。昨夜の女子高生達の霊もそうだったが、ホラー映画で見るようなものより、よっぽど人間臭いではないか……。
ぼうっとしている麻衣の横をゆっくりすり抜け、タキばあが「よっこらしょっ」と手をかざす。
はっと気付いた麻衣が、何をしてるのだろうと視線を少し下げてみれば、先ほど自分が運ぼうとしていたダンボール箱と金だらい、洗濯板がふわりと宙に浮いているではないか。
「え……えぇ~~~~~!?」
「いちいち大げさな娘じゃのう。ポルターガイストも知らんのかい?」
先日とほぼ同じ反応を示す麻衣に、タキばあがちょっと呆れたように溜め息をつく。
「長く地縛霊をやっとるとの、自分の周囲の物限定じゃが、自由に操れるんじゃよ。さ、その塩まみれの服はあたしゃが洗ってやるから、よこしな」
「え、で、でもっ……」
「行水も手伝ってやるわいな。それが済んだら、服が乾くまでこれを着な」
タキばあが言うと同時に、ドアの向こうから何かがふわりと飛んでくる。
それを見て、麻衣は絶句した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます