第40話

「な、鳴海先生……? その子達は……」

「あ? 見て分かんねえのか? 今で言うJKだよJK。三十年くらい前のな」

「……はい?」

「それと、その子達ってのはやめとけ。一応、俺やお前より年上で人生の先輩に当たるんだからな」


 『心霊六法全書』をしっかりと脇に抱えたまま、俊介は少女三人をじっと見据える。そして、小さい溜め息をつくと、ゆっくりと諭すように言った。


「前に来た時も、俺言ったよな? お前らのおしゃべりは声がでかすぎて、ここの住職が不眠症になってるって。毎晩毎晩盛り上がってんじゃねえよ」

「え~? そんなのうちらの自由じゃ~ん」

「だいたいうちらの声や足音しか分からないなんて、あのオヤジ修行が足りないんじゃね?」

「うちらの両親もだいぶジジババになってきて、なかなか来てくんないしさぁ。つまんないだって~」


 そう言った少女の一人が、背後に建てられている墓石を指差した。


 古くてボロボロに欠けた小さな墓石が三つ、寄り添うように並んでいる。その一つ一つには少女達のものと思われる名前が刻まれていた。


 そして、確かに俊介が言った通り、三十年ほど前の年月日もそこにある。死亡年月日に違いないだろうが、三つとも同じ日付だった。

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