第24話
「……どこに行っていた、麻衣」
ひときわ低い声で問われ、麻衣は正直に答える事も、とっさに嘘をつく事もできない。
だが、新品のレディーススーツに上達しない化粧ぶりの娘の姿を見てすぐに悟ったらしく、稔彦は手元のメモをちらりと見てから、言った。
「これを見て、鳴海君の所に行っていたのか?」
「え……!?」
「やはりな」
俯いていた顔をパッと持ち上げて反応する麻衣を見て、確信を得たとばかりに稔彦は短く息を吐く。
そのまま踵を返してリビングに向かおうとするので、麻衣は慌てて後を追った。
「お父さん、あの人の事知ってるの?」
「……ああ」
リビングに入ると、稔彦はいつものようにゆったりとした動作で革張りのソファに座る。
それに追い付いた麻衣は、ソファの前に回り込むようにして立つと、早口で言葉を続けた。
「何で!? 何でお父さんが、あんな人を……」
「彼の事は前から知ってる。少し、世話になった事があってな」
麻衣は大きく目を見開いた。
お父さんが、あんな訳分かんないオカルト男の世話になった? お父さんみたいに立派ですごい弁護士が!?
先ほど見た現象よりもっと信じられなくて、麻衣はさらに言った。
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