第19話
「おい! 何、邪魔してくれてんだ、ああ!? お前は俺を殺す気か!?」
「じ、邪魔って……自分で本を投げ出したんじゃないですか! 殺すだなんて、大袈裟な……。いや、そんな事より!」
訳の分からない事を口走る男の言う事など今は無視するに限ると、麻衣は体を起こして老婆の元に駆け寄る。
そして、「おばあちゃん、大丈夫だった?」と麻衣が老婆の肩に手をかけようとした時だった。
するり。
「え……?」
思わず、麻衣は声をあげる。今度こそと、もう一度手を伸ばした。だが。
すかっ。すかっ、すかっ、すかっ。
「き、きゃ~~~~っ!?」
どうしても、老婆の肩に触れる事ができない。何度伸ばしても、麻衣の手は老婆の肩や体を何度もすり抜けていって……。
信じられない現象を目の当たりにして、麻衣の口から甲高い悲鳴が絞り出されていく。
そうやって、またヘナヘナとその場に座り込む麻衣を見た男は面倒臭そうに頭を掻き、老婆は愉快そうにけらけらと笑い始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます