第15話
「おばあちゃん、そんなに怒らないで? 私もここに用事があるから、一緒に……」
そう言った麻衣の手が、玄関のドアに触れるか触れないかという所まで伸びた時だった。
突然、それまで拒み続けるように閉ざされていた玄関のドアが、音も立てずに静かにゆっくりと開いていったのである。
これに麻衣が「あれ?」と声をあげるが、老婆は麻衣の顔を見上げて、にっこりと笑った。
「開けてくれて、ありがとよ」
「え? いや、私は何も……」
単に鍵がかかっていなかったのではないかと言いたかったのだが、そんな麻衣を置いて、老婆はさっさと洋館の中に入っていく。腰が曲がっているとは思えない素早さだった。
「え? ちょ、ちょっと、おばあちゃん!?」
慌てて後を追って玄関に一歩入った麻衣だったが、その時にふと、足元に一枚の細長い紙切れが落ちている事に気付いた。
始めは無地のものであるかと思われたが、よく見てみると、何やら赤い色でいくつかの掠れた文字が書かれてあり、それらを同じく赤い色の線で囲っているかのようだ。
「何て書いてるんだろ……まあ、いいか。おばあちゃん、待って!」
結局読む事をあきらめ、老婆の後を追う麻衣。
玄関に残された、その細長い紙には『
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