第22話
『お話したい事があるので、放課後、校舎裏まで来ていただけませんか? 西村雄一』
そう書かれた一枚の便せんを読んだ瞬間、真琴の心臓は再び大きく高鳴った。
え? これって雄一? 雄一からの手紙なの? もしかしてあの短いやり取りで、私がお母さんだって分かってくれたの……!?
ああ、雄一。あなたが生まれて、すぐに死んじゃってごめんね。あなたの事、抱きしめる事もできないまま、育ててあげる事もできずにいなくなっちゃって本当にごめんね。
待ってて雄一、今すぐ行くから。そして、一緒にお父さんのいるアパートに帰りましょう……!
息子からの初めての手紙を大事に封筒へとしまい直し、それをスカートのポケットの中にそっと入れると、真琴は先ほどよりもさらに急ぎ足で校舎裏へと駆けていく。だが、そこから先の展開は真琴が心から望んだものでは決してなく、先述の通り、全くの想定外とも言えるべきものであった。
「……初めて会った時から、ずっとあなたが好きでした! よ、よかったら、僕とお付き合いして下さい!!」
真琴が自分のすぐ目の前まで来たとたん、雄一は緊張で上ずった声でそう告白してくる。真琴は本当に信じられない思いだった。
私の息子は優しくて賢くて、こんなに微笑ましくてかわいい事ができる本当に愛しい子だ。身体的な見た目だって、きっとこれからもっと大きく成長していく。文字通り、素敵な男性に成長していく事だろう。
でもただ一つだけ、どうしようもない欠点があるとすれば、これに尽きる。異性に対する嗜好や趣味が悪すぎると……!
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