第17話
真琴が通う県立
毎年何人もの卒業生が名だたる国立大学などに現役合格、その進学した先でも優秀な成績を残した後、社会で幅広く活躍する者も決して少なくない。中には有名な著名人や芸能人もいるくらいであり、もはや成岡高校に通っているというだけで、ちょっとしたステータスのようなものになっていた。
その知名度と偏差値の高さから、毎年入学希望者が後を絶たないが、成岡高校の入試問題は年を追うごとに難関を極めていく。ゆえに在校生には、有名塾に通ったり何人もの家庭教師を雇うだけの経済的余裕がある元華族や企業グループの家の出の者が多く目立つが、出自や家柄ではなく、あくまでも学力で入学を決めるという理事長の方針から、数は少ないが特別推薦枠も設けていた。
今生の記憶を紐解いてみれば、真琴はその特別推薦枠で入学したクチだった。試験内容は簡単な質疑応答と、何枚もの総合テストによる厳しい合格ラインだけ。それらを見事乗り越えて合格した時、両親はとても喜んでくれたが。
「通常、一人しか取らない推薦枠の合格者だが、今年は真琴も含めて二人だそうだ。そのもう一人の子に負けないよう、これからもしっかり励みなさい」
合格祝いと称された高級レストランでの食事会で父親にそう言われた時、「絶対にいびり倒して退学に追い込んでやる」と思っていた事も思い出し、真琴は一年三組の教室のドアの前で真っ赤な顔を両手で覆う。本当、ろくな性格じゃない……!
「いいから気にするなって。今生のお前はそういう奴なんだから」
「こういう奴なんだってあらかじめ分かっていたら、チェンジをお願いしてたかもね!」
エンにだけは言われたくないと、真琴はイーッと歯を見せる。何故なら、先ほど校門前で生活指導の教員に「誰だ、君は?」と声をかけられたエンだったが、さっと懐から出した閻魔帳を差し出すと、とたんにその教員は頬を綻ばせて「何だ、
「まさか閻魔帳が、偽造の身分証明書になるなんて思わなかった! こんな扱いが面倒な子に転生するんだったら、そういったアイテムをくれればよかったのに!」
「あいにく、輪廻転生株式会社の社員じゃなきゃ無効なものなんでね。だから今回のキャンペーンができたんだろ?」
だから、いつまでも突っ立ってんなよとエンは真琴の背中をぐんっと押す。危うくドアに鼻の頭をぶつけそうになったが何とか堪え、真琴はゆっくりと一年三組の教室へと入っていった。
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