第54話
『7月21日
父さんと放課後に話した。やっぱり、ものすごく赤い顔してた。
それがおかしくてつい笑っちゃったら、思いもせず、とんだデッドボールが返ってきた。
父さんに「高校生活はどうだ?友達と何して遊んでる?」なんて聞かれちゃったよ。
正直、きつかったなぁ…。ものすごく痛いところ突かれたって感じだよ。
僕の口は、本当に不器用だ。父さんに心配かけさせないように嘘の一つや二つついてもいいところなのに、これまたバカ正直に「友達はいない」なんて言っちゃうんだから。
僕は、自分の性格が本当に嫌いだ。
だから、皆とうまくいかない。大山さんだって何度も怒らせた。これからもきっと、皆を怒らせると思う。
父さんみたいな人になりたかった。父さんみたいに、ちょっとでも社交性があれば、きっとみんなと友達になれたのに…。
その事をちょっと愚痴ったら、父さんに諭された。
父さんみたいにならなくていいって。
人にはそれぞれ魅力や生き方があるんだから、それを磨いていけばいいんだって。
…いいのかな、それで。
僕は、今のままの僕でいていいのかな。
今のままの僕で、どこか長所みたいなところを探していければいいのかな。
そうしたら、いつか僕の周りに、友達ってものができてたりするんだろうか…。
ああ、そうだ。
父さんと会えて、話ができる事が楽しすぎて、大山さんに頼んでいた事をすっかり忘れていた。
ヤバい、もうすぐ夏休みじゃないか。
終業式になる前に、大山さんに聞かなくちゃ。
友達の作り方って奴を。
図書室に行けば、また話ができるかな…。』
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