第45話



『4月1日


今日から、この大学ノートに新しい日記をつける事にする。

あと数日で、僕は美里第一高校の生徒になる。

新しい日記の一日目から、いきなりこんな事を書くのはどうかなって思うけど、

正直言って、今の僕は少し混乱中。

まさか、本当にあの人がいたなんて。

困ったな。

入学式にも来るなって母さんが言ってたみたいだけど、

来る来ないとかっていう以前の問題だよね。

あの人、今はそこで先生をやってるんだから。

もし廊下とかで会っちゃったら、どうしよう…』




『4月7日 午前8時


いきなり三日坊主ならぬ、七日坊主?(笑)

だって、あれから一週間、ただひたすら緊張してただけだったし。

今日は、とうとう入学式だ。

今から母さんと一緒に出かける。

あの人も、入学式に先生として参列するのかなぁ。』




『4月7日 午後8時


12時間ぶりの日記、久しぶり(笑)

入学式は、母さん的には無事に終わった。

あの人が来なかったと思ってたみたいで、何だかちょっと安心してたみたいだ。(素直じゃないな、本当は会いたかったくせに)

でも、僕的にはちょっと…いや、かなり冷や汗ものだったかな。

だって、いたんだもん。あの人が。やっぱり参列してたよ。

まあ、先生なんだから、いるのは当たり前かもしれないけど、

体育館の隅にあった教諭席のさらに端っこにいたから、何となくそこを見てなかったら、たぶん気付かなかった。

…何年ぶりに顔を見たかな。見た目は、全然変わってなかったと思う。

僕の方がすっかり変わっちゃったな。

…て、当たり前か。最後に会ったの何年前だと思ってるんだよ、僕。

あの人、僕に気付いたかな。もし、廊下で会っても気付いてもらえなかったら、どうしよう…』

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