第33話
あれから数日、あたしは妹尾のせいで大いに悩みまくっていた。
『教えてほしいんだ、友達の作り方って奴を』
…何それ。そんなもの、存在すんの?ていうか、わざわざ料理のレシピみたいに細かい順序ややり方が必要なものなの?友達になるって事が…。
昼休み、あたしは目の前で一緒にお昼のお弁当を食べている恭子の顔をちらちらと覗き見た。
あたしと恭子が友達になったきっかけは、たまたま隣り合わせでクラス分けの名簿表を見ていた事で。それから気が合って、ずっと一緒にいたから友達になれた。
次に、あたしは教室の一角でぎゃいぎゃいとやかましく購買のパンをじゃれるように奪い合っている逢坂達五人の方を見た。
「あ~!ケンちゃん、それは俺が狙ってた焼きそばパンだろ~!中身が10%増量の奴!」
「10%も0%も大して違わねえって…あっ、小西!お前、俺のメロンパン食べんなよ!」
「よく言うよ、さっき僕のイチゴジャムパンかじったくせに」
「全く…高校生にもなってみっともないぞ、パンの一つや二つで」
「そう言う三崎だって、俺のコロッケパンを一個取っただろ?」
「トクは他にも四つ買ってただろ?一個くらいでそう言うなよ」
逢坂、島本、小西、三崎君、徳井君…。
性格も体格も頭の出来も全然違うこの五人は、気が付けばいつも一緒にいる。逢坂と島本は中学の時からの腐れ縁みたいだから特に仲がいいけど、他の三人との仲だってそう変わらない。
何かよく分かんないけど、あいつらは五人一緒にいて、初めて友情のバランスが完璧に釣り合ってるっていうか…あの五人でなきゃ生まれ得ない友情の雰囲気ってものが確かにある。見た目はバカっぽく見える(成績のいい三崎君や徳井君には悪い)けど、いい感じだよ。
ううん、あの五人だけじゃない。うちのクラスはいくつかのグループに分かれて、それなりにきちんとした友情を育んでる。その中に❝あいつ❞は…妹尾は交われないでいるんだ。
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