第53話
「生物部ぅ~?」
マキナの口から出てきた、そのあまりにも地味な部活動の名前に、我ながらすごく分かりやすい反応を返したと思う。
あたしは目の前の笑顔に向かって、これでもかってくらいのげんなりした声を出してしまった。
「この学校、そんなのあるの?」
「うん、今日から始まったばかりなの」
「え?」
「さっき、部活主任の先生に許可もらったから」
と、ずっとニコニコした笑顔でそう答えるマキナが、あたしには理解不能だった。
何、この子。元々なかった部をわざわざ作ったっていうの?しかも生物部を?
何か気持ち悪いって言うか、バカバカしい?とにかく付き合ってらんないって感じで。
まだ何か言いたそうなマキナに、あたしは即座に背中を向けた。
「ごめん。あたし、生き物観察するとか、全然興味ないから」
「…え?生き物?観察?何それ?」
やだ、そんなのやらないよと続けて聞こえてきた言葉に、あたしが「何それ?」って言い返したい。
あたしは肩越しに振り返って、言ってやった。
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