第51話
そんな思いで入学した新しい中学では、まあ当然のごとく浮いた。
だって仕方ないじゃん。あたしが地元で友達とそうしようって思っていた事は、この町に住んでる子達だって同じように考えていた事。
それでなくたって、見た事も聞いた事もない子がいきなり同じクラスになったら、誰だって最初は躊躇するし、それが少なからず尾を引いちゃったりするもんだから、あたしみたいないわゆる「余所者」はどうしたって浮いてしまう。
この町の事なんて、何も知らない。同じクラスになってクラスメイト達も、小学校までの昔話やこれからの生活に期待がかかるおしゃべりで夢中だから、あたしがそこに入り込む余地なんて全くない。
中学デビューなんて、クソクラエ。あたしの中学生活は予想通りに、第一歩目からつまづいた。たぶん、このまま起き上がる事なく三年間が過ぎるんだろうな。
中学を卒業したら、こんなつまんない町出てってやる。そう思っていた。
マキナと出会ったのは、そんな事ばかり考えていた入学一週間目の放課後だった。
この頃になると、学校の中は部活勧誘活動一色になってて、放課後にもなると廊下のあちこちで体育会系も文化系も関係なく賑わっていた。
「ねえねえ、そこの君!野球部入らないか?一緒に甲子園を目指そう!」
「吹奏楽部に入りませんか~?皆で演奏、楽しいですよ~!」
「我が校の柔道部は歴史もあって、すっごく強いで~す!皆も強くなってみませんか~!」
各々のクラブがチラシ片手に大声を張り上げて愛想を振り撒いてる。どうせ入部したらしたで、先輩風吹かせて偉そうに叱り飛ばしたりするんでしょうに。優しいのは入部を決める時までってね。
十中八九そうなるであろう先輩達の波をすり抜けて、あたしは一年生専用の昇降口にまっすぐ向かう。
まっすぐなんて向かわなきゃ良かったと、今はものすごく後悔中だけど…。
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