第48話
†
何、これ?いったい、何の冗談な訳…?
頭の中でそう呟いた言葉は口の外まで出ていかず、自分の頬の辺りがピクピクと震えたのが分かった。
付き合って半年目の彼氏で、一個上の先輩でもある秀幸(ひでゆき)のマンションに行った。
秀幸の両親は共稼ぎで、晩ごはんの時間になるまで帰ってこないのは知ってたから、それまで二人でイチャイチャしてようと思い、秀幸には何も言わずにいきなり行った。
前に秀幸からもらった合鍵で勝手に鍵を開けて、勝手に入った。脅かすつもりだったから、そのまま静かに中へ進んだ。
それがいけなかった。だって、そのせいで秀幸の部屋に辿り着くまでに聞こえてきちゃったんだ、甘ったるい喘ぎ声が。
「あ…、ダメ…。三宅(みやけ)センパァイ…!」
聞き覚えのある高いソプラノの声に、聞き覚えのある呼び方。あたしの周囲で秀幸の事を「三宅センパイ」なんて呼ぶのは、たった一人しかいない。
それでも信じられなくて、どうかたまたま同じ名前を呼んだAVの音声でありますようにって願掛けながら秀幸の部屋のドアを開けた。
すると、秀幸のベッドに二人の人間が寝転がっていた。一人は当然秀幸で、間抜けなくらい派手な色合いのボクサーパンツ一丁の姿。
そしてもう一人は…上半身はブラジャーだけで、今まさにスカートを脱がされようとしている姿のマキナで。
マキナは秀幸に押し倒されてる格好のまま、ドアの側で立ってるあたしに気付いて、ひゅうっと大きく息を飲んだ。
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