木嶋優子(17歳)の場合
第47話
あの時、I県行きのバスの一番前の席を選んだのは、たまたまその時間にすぐ出ると知ったからで、別にそれ以上の意味なんかなかった。
I県に親戚とか知り合いなんか一人もいない。て、いうか、誰もあたしの事を知らない所に行きたかっただけ。
そう。別にあの二人から逃げた訳じゃない。もう二度と会いたくない、顔も見たくないと思ってはいたけど。
でも、バスが発車して高速道路に入って少し経った時。
急に目の前で運転していた運転手のおじさんがハンドルに突っ伏すように倒れて、そのまんま動かなくなって。
バスがぐらぐらと蛇行を始めて、ガードレールを突き破った瞬間、こう思ったんだっけ。
ああ、やった。これで、もうこんな思いを抱える事もなくなる。これで、本当にあの二人と会わずにすむ。
言った通り、あたしは消えてあげるから。後は好きにしなさいよ、お二人さん。もし幽霊とかになれたら、一回くらいは化けて出てきて、脅かしてあげる。
そう思ってたのに、気が付いたらすっごく変な事になってた。
あたしと、それから他に年齢も性別もバラバラの四人が訳分かんない所にいて、死神とか名乗り出した人から「あなた達は生き返れますよ」的な事を説明されてる。
ちょっと、冗談やめてよ。
あたしは人生最大級の最悪な時に事故ったんだから、そのまま死なせてくんないかな?
今、目を覚ましたって、ろくな事になんないのに…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます