第24話
†
翌日の、日曜日の事だった。
この日はあいにくの雨模様で、大窪さんとのウォーキングは断念せざるを得なかった。
ここしばらく続けていた習慣が途切れるのは気分のいいものではなかったが、自然には逆らえないと自室の窓からぼんやりと降りしきる雨を見上げていれば、二人の孫達がニコニコとしながらやってきた。
「じぃじ、僕達と遊んで下さい!」
「あしょんで~」
そのまま、二人とも勢いをつけて自分の腕の中に飛び込んでくる。少し前の自分だったら、その勢いに負けて後ろにひっくり返っていただろうが、今ではこうしてしっかりと抱き留めていられるのも大窪さんの指導の賜物だ。
自分はもちろん、「いいともさ」と答えた。
「何をして遊ぼうか?」
「切り絵がいいです!」
正太が即答した。意味が分かっているのかいないのか、奈緒美もうんうんと頷いている。
よく見てみれば、正太の右手には半透明のビニール手袋が握られていて、その中には色とりどりの折り紙が十数枚に、正太が使うには少し大きめのはさみが入っているようだ。
切り絵をしたいというよりは、様々な色合いをした紙を好きなように切ってみたいという気持ちの方が大きいのだろう。
いや、それで充分だ。まずはやってみる事、自分だってそうだったんだから。
そんなふうに思いながら、正太の持っているビニール袋を受け取ろうとした時だった。
「…ちょっと、お義父さん!何をバカな事をなさってるんですか!?」
ものすごい形相と剣幕の美代子さんが、こちらに向かって怒鳴り付けてきた。
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